◆Toshifumi NEMOTO(MSc Museum Studies)
レスター大学博物館学課程に2010年度MSc(理学修士)として在籍していました。 私は日本の大学院にて地質学・古生物学を専攻していましたが、自然史博物館におけるコレクションマネジメント及びアウトリーチ活動に興味を持っていました。しかしながら、日本の学芸員養成課程は美術・考古学等の人文系の学科・学部の学生を対象に開講されているものがほとんどであり、私のような自然科学系の学生が自然史博物館に関連した博物館理論を学べる環境にないという現状がありました。
レスター大学の博物館学課程が日本と決定的に異なるのは様々なバックグラウンドを持つ教授・講師陣がそろっており、博物館理論を多角的・総合的に学べるという点、そして学生が何を学びたいのかに合わせて博物館理論をより深く掘り下げられる選択科目が充実している点にあります。私が選択したNatural Science Curationでは自然史博物館を重点とした博物館教育理論やコレクションケア方法論等を学ぶことができました。これらは研究主体である日本の大学院では到底学ぶことのできなかったものであり、私の目的に十分に沿った内容であったと思います。
また、学芸員養成には必須である博物館実習に関してもレスター大学はUK全土に及ぶ非常に幅広いネットワークを有しており、200近い博物館からのオファーの実習内容は博物館教育・メディア・コレクションマネジメント等多岐に渡ります。学生が自分のニーズに合わせて実習プログラムを選択でき、より実践的なスキルを現場で習得することができるという点も同課程の強みであると思います。私のインターンシップの受け入れ先であったReading Museumでは地質学コレクションを中心にアウトリーチ活動・コレクションマネジメント・Webコンテンツの作成等幅広い実習プログラムが組まれており、レクチャーで学んだ理論を実践することができましたし、また新しい別の方法論等を知ることができました。 上記のようにレスター大学の博物館学課程は自然科学系を志望する学生に対しても非常に充実した内容であり、理論と実践の両方がバランスよく整った素晴らしいカリキュラムであったと思います。
1年という短い期間の間にアサインメント、グループワーク、ディサテーションそしてインターンシップ等をこなすのは決して楽ではありませんでしたが、レスター大学のインターナショナルの学生に対する生活面・勉強面でのサポートは充実しており、困った時には丁寧に相談に乗っていただくなど非常に助かりました。 また、クラスメイトや同時期にレスター大学に来ていた日本人留学生の皆さんとの交流は大学院課程を進めて行く上で心の支えになったと思います。レスター大学で得られた経験、対人関係は非常に有意義なものであり、またmuseum professionalとしての自分の将来を形成する糧になると信じています。