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◆Sayaka JIMBO (MA Museum Studies)

2010−11年度、レスター大学大学院でMuseum Studiesを学びました。私は博物館・美術館教育に興味があり、その分野の先進国であるイギリスの大学院で専門的な勉強をしたいと考えていました。留学先を探す過程でレスター大学のMuseum Studiesという学部を知り、その後、日本事務局の福元さんには大変親身になってサポートしていただきました。レスター大学から担当の方が来日された際には、実際にお会いして質問をする機会を設けていただき、出願前の不安が和らいだことを覚えています。そしてMuseum Studiesコースの充実したカリキュラムに魅力を感じ、最終的にレスター大学への留学を決意しました。

私が在学していた年は、Museum Studiesのコースに世界中から集まった多くの学生が在籍していました。約4割がイギリス人学生、3割がアメリカからの留学生、残りがヨーロッパ各国(スペイン、イタリア、アイスランド、ギリシャなど)と、東アジア(中国、台湾、韓国、日本)を中心とした留学生という構成でした。授業では様々な英語が飛び交い、文化によったコミュニケーションの違いによる苦労もありましたが、とても面白い経験になりました。また、Museum Studiesのコースには、およそ隔週で「Study Visit」と呼ばれる社会見学の授業があります。ロンドンやレスター近郊の博物館・美術館を訪問し、学芸員の方のお話を聞いたり、普段は見ることができないMuseumの裏側を見せていただきました。バスでの長時間の移動は大変でしたが、特別な経験をすることが出来て満足しています。

レスターの街は、ロンドンから電車で約1時間15分という場所にあり、乗り換えの必要もありません。特にロンドンの博物館・美術館の展示やイベントを日帰りで観に行ける点はとても魅力的でした。Museum Studiesで一緒に勉強していた友人達とも、よく一緒に展示を観に行きました。また、私はSalisburyという寮に住んでいましたが、ちょうど大学とCity Centreの中間に位置しており、電車の駅も近くとても便利でした。同じ寮にMuseum Studiesの学生が他にも住んでいたので、一緒に勉強したり、夕食を食べたりと、楽しい学生生活を過ごしていました。

Museum Studiesコースの最後にある8週間のインターンでは、ロンドンのGeffrye Museumで教育普及の仕事をしました。Geffrye Museumはその教育活動が高く評価されている博物館の1つで、そこで過ごした8週間はイギリスでの生活で最も充実した時間になりました。夏休みの子ども向けワークショップの手伝いから、週末のイベントやアンケートの作成とその調査、知覚や視覚に障害を持った方を対象にしたイベントの補助など、限られた時間の中でたくさんの貴重な経験をさせていただきました。インターンを通じて、実際に博物館で働くということがどういうことなのか、大学院での勉強だけでは決して学べないことを経験することが出来ました。

最後に、レスター大学のMuseum Studiesコースの特徴は、Museumの専門家として働くために必要な専門知識を幅広く学ぶ点にあります。この点は日本の大学院教育と大きく異なるように感じました。日本では、各々の専門分野を狭く深く学ぶようにカリキュラムが構成されているように思いますが、レスターでは、例えば私のように博物館教育に興味があっても、博物館学の歴史からアートマネジメントやアートによる地域活性活動について、さらにキュレーティングや修復・保存の実習などの分野も、全て必修となります。始めは、専門分野を深く学べないのではないかという心配もありましたが、むしろ様々な分野を学んだことでMuseumの専門家となるために必要な多くの分野について知り、一方で自分の博物館教育への興味を再確認することも出来ました。ある先生が「Museumで働くためには、自分の専門分野はもちろん、関連する分野についても一定の知識を持っていなければならない。そして、レスター大学のMuseum Studiesでは、それを可能にするためにカリキュラムを作成しているのよ。」と私たち学生に話してくれたことが印象的でした。そのカリキュラムで勉強した一年は、私の人生においてとても意味のある時間となり、またその時間を共に過ごした友人達との出会いは一生の財産になりました。