◆Hinata HASUMI (MA Museum Studies/ Headstart+)
私は2024年から2025年のMuseum Studies MA(以下MS)で学びました。博物館に関する多角的な議論を通じ、自己と深く向き合う充実した期間となりました。また、日本事務局の福元さんや大学学務のサポートの手厚さに加えて、レスターのMSは先生方との距離が近く、Corse Representativeを中心に学生の自治・レクリエーションが充実しており、今後に続く貴重な縁を得られました。
レスターのMSのコースは、他コースの違うスケジュールで運営されており、1つ1つの授業に集中することが出来ました。1つの授業は<講義3週と課題1週>で仕上げる形で1ヶ月間みっちり行われます。半年間はこのサイクルを繰り返し、授業で扱う内容は段々応用的になっていくよう学習体験がよく設計されています。残りの約3ヶ月で修論を書き、2ヶ月間は博物館で実習を行います。短い期間のため知悉することは勿論叶いませんが、講義を受けた後に改めて博物館に行ったり日本の論文を読んだりすると知識が繋がることが多く、今後博物館についての議論を深めていく上で基礎を築く半年間となりました。
修論や課題のライティングについては、他学部と比べても字数が短く研究の要素は薄いコースかと思います。また、評価に当たっては緻密なリサーチやロジックよりは観点や扱う事例の独自性が重視されている印象を受けました。特に日本語でしか出版されていない文献や事例を扱うことで、先生方も様々な国の博物館事情を知ることを楽しんでいるように見受ける一方、引用している文献や事例の解釈が間違っていたら指摘してもらえるのだろうか…という不安はありました。
博物館実習の準備へのサポートの手厚さは、卒業後の進路を決める上でも役立ちました。今までの経歴と今後の展望を自分のやりたいことベースで結びつけることや、授業の中で読んだ文献で1番共感できたことから今後どのように博物館と関わるのがベストかということを深める時間にもなりました。オックスフォードのデータ分析チームという貴重なポジションをいただくことで博物館運営の実際を知ることが出来ました。また、職場では働き方に対するマインドセットを知る中でも自分が相対化され、人間的な成長も得られたと思います。
イギリスの修士は1年間と短く、日本のアカデミアをイメージするとそこかしこにギャップがあるかもしれません。しかし、学問は個人主義的で競争的であると考えていた私には、お互いに協力し合いながら小さな発見やその人にしかない観点を大事にしてくれるEncouragingな環境がとてもフィットしました。おかげで博物館について、細く長く自分のペースでこれからも議論を続けることが出来そうです。サポートしてくださった事務局の福元さんに感謝申し上げます。